私たちは、縦・横・高さ(奥行き)の三次元世界に住んでいると言われています。ここに時間を追加して四次元時空と言うこともありますね。
しかし、この次元の捉え方をよくよく考察するとおかしなことに気づきます。
例えば、目の前にリンゴがあるとして、私たちはそのリンゴが立体的なモノだと認識しています。つまり、縦・横・高さ(奥行き)のある三次元の物体ということです。
ですが、本当に私たちの目にリンゴは立体的なモノとして見えているのでしょうか?
目の前のリンゴをよく見ていただくと、実際には平面的に見えていると思います。
上の写真は写真だからとも言えますが、実際のリンゴも写真と同じように縦・横の平面(二次元)に見えるはずです。つまり、高さ(奥行き)の世界は実際には私たちの目には見えていないという意味です。
では、なぜリンゴが立体的に見えるのでしょうか?
それは、記憶を通じて脳が作り上げたリンゴ像を実際のリンゴと錯覚しているからです。
例えば、リンゴの奥行きを見るためには、リンゴを動かすか、自分が横に動く必要があります。
(この時には時間の経過が必要です)
すると、リンゴには縦・横に加えて奥行きもあることが分かりますが、ただその時にはすでに実際の奥行きは消えていることに気づくと思います。
これはリンゴを回転させたり、自分が動いても、見えるのは縦・横の平面に過ぎず、奥行きは時間の中、即ち頭の中にのみ存在するもので、リアルではないということです。
このように私たちが普段あると信じて疑わない奥行きの世界は、記憶の中にあるだけで、実際には存在しないものなのです。
そこで気になるのが、リアルな奥行きは存在するのかという点です。それは結論から言うと、”在る”と言えるかと思います。
ただ、リアルな奥行きを見るためには、モノの内部に入り込まなければなりません。リンゴであれば、リンゴの内部に入り込まなければならないのです。
もちろん普通に考えれば不可能ですが、モノを内部から見る視野を獲得すれば可能だと言えるでしょう。
例えば、立方体や正八面体、あるいはピラミッド(四角錐)といった多面体があります。これらも外部から見る分においては、平面として見るのが正しい見方なのかも知れません。
ですが、内部から見る視野を見つけたら、また別の世界が見えてくると思います。つまり、リアルな奥行きが見えてくるのです。
そのためには前後・左右・上下を同時に見る視野の獲得が必要になってくると思います。つまり、モノの内部に入り込むとは、立体的な視野の獲得を意味し、また今後の私たちにとって必要な空間認識とも言えるでしょう。
元記事:奥行きと次元考察