量子もつれとは

最新物理学(超弦理論と量子情報理論の境界領域)における『物質が「原子のつぶつぶ」で構成されているように、宇宙空間は「情報のつぶつぶ」で構成されているのではないか?(中略)情報のつぶつぶとは、「量子ビット」のこと』という話を前回引用しました。

量子ビットとは、量子情報の最小単位のことで、0と1の重ね合わせの状態を取れるもののことを言いました。0と1の重ね合わせの状態から、観測によって0か1に収縮するのでしたね。

ところで、量子の世界には「量子もつれ(量子エンタングルメントまたは単にエンタングルメントとも呼ばれる)」という現象があります。

例えば、電子2つが量子もつれの状態にあるとします。するとこの電子たちは、物理的にどんなに離れても相関性を持つ、即ち、互いに影響し合うといいます。

具体的には、先ほど量子ビットは0と1の重ね合わせの状態を取ると書きましたが、量子である電子も、スピンの上向きと下向きの重ね合わせの状態を取ることができます。

スピンについては、私もまだはっきり理解した訳ではありませんが、ここでは「電子には上向きスピン(↑)と下向きスピン(↓)が存在し、その重ね合わせの状態が収縮すると上向きか下向きかに確定する」という前提でお話しすると、量子もつれの状態にある電子の対(ペア)があるとし、その対はお互いどんなに遠くに離れても、一方を観測して”上向き”だったとすると、もう一方は瞬時に”下向き”に確定すると言います。

反対に、先に観測する電子が”下向き”だったとすれば、対となるもう一方は”上向き”となります。このような量子の不思議な双対性を「量子もつれ(あるいは単にエンタングルメント)」と言います。

 

いかがでしょうか?ちょっと私の説明だけでは心もとないので、専門家のお話しも引用させていただきます。

ミクロの世界を正しく説明するうえで欠かせない量子力学に、「量子もつれ」と呼ばれる現象がある。量子もつれとは、2つの粒子が強い相互関係にある状態であり、粒子のスピン、運動量などの状態をまるで「コインの裏表」のように共有する運命共同体のような状態を指す。

例えば、一方の粒子を観測したときのスピンが上向きであれば、もう一方は瞬時に下向きになる。このような量子もつれにある2粒子間の状態は、どれほどの距離──たとえ銀河の端から端という途方もない隔たりがあろうが、維持されるのだという。この同期の速度が光の速度を超えるという、まるで空間など存在していないかのような非局所性から、偉大な物理学者アルバート・アインシュタインが、かつて「不気味な遠隔作用」と呼んだほどだ。

「量子もつれ」の瞬間を世界で初めて画像に記録、英研究チームが成功より引用

注目すべき点は、「同期の速度が光の速度を超える」です。つまり、量子もつれの状態にある対の一つを観測して”上向き”だったとすると、その情報がもう片方に光を超える速度で伝達され、”下向き”に確定するというのです。

不思議ですね。現代物理学(相対性理論)では、光を超える速度は存在しえないわけなので、そのため様々な議論がなされています。

最後に、今回の量子もつれ(エンタングルメント)を図で表現してみました。前回に引き続き、1円玉でたとえていますが、0と1はそれぞれ電子の上向きと下向きに対応します。

なお、量子もつれの状態にある対(ペア)のことを「ベル対、EPR状態、あるいはエンタングルメント対」と言います。

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