「電子とニュートリノの関係」と「自己と他者の関係」は等価というヌーソロジーの概念を前提に話を進めて来ましたが、実は、これまでの話は<潜在化>の世界観、即ち意識下のものでした。
自己が他者化したり、他者が自己化するという現象は、通常私たちの意識下で起きているもので、自覚するのは難しいという話でもあります。
勿論、前回までのような記事を読まれれば、あの時は自己が他者化していたなとか、他者が自己化していたななどと顧みることはできるでしょうが、リアルタイムで気づくのは難しいだろうということです。
そこで、必要となるのが基底状態の体得です。
電子の基底状態を体得すると、リアルタイムで励起状態の自分に気づけるようになります。
このように心が励起する瞬間に気づけるようになると、励起エネルギーに巻き込まれることが無くなってきますし、また、β崩壊による自己の他者化や、他者の自己化の瞬間にも気づけるようになるからです。
ただし自他の空間構造、即ち電子とニュートリノの空間構造をしっかり理解することが大前提になります。このような空間構造を理解してこそ、《他者化した自己》と《自己化した他者》の差異も明白になるからです。
さて、冒頭で、これまでの話は<潜在化>の世界観と書きましたが、このように《他者化した自己》と《自己化した他者》の差異を明確に自覚できるようになる状態が<顕在化>です。
そしてこれは、ヌーソロジーにおけるψ6の「位置の中和」の顕在化とも言えるかと思います。
電子の基底状態の体得がΨ5の「位置の等化」の顕在化だとすれば、《他者化した自己》と《自己化した他者》の差異化がΨ6の「位置の中和」の顕在化だろうということです。
これまで見てきたように、ψ6の潜在化では、意識下で自己が他者化したり、他者が自己化することで私たちは苦しみます。
しかしψ6が顕在化すると、《他者化した自己》と《自己化した他者》の差異が明確となるので、今度は意図的に他者化と自己化を制御できるようになります。
電子とニュートリノは<Wボソン>を交換することで、電子がニュートリノに、ニュートリノが電子に崩壊しました。同様に、自他で<イメージ>を交換することで、自己が他者化したり、他者が自己化します。
つまり、ψ6が顕在化すると、意図的にこの<イメージ>を制御できるようになるのです。潜在化の時は、<イメージ>が無意識に働いて自分を苦しめますが、顕在化することで<イメージ>を自ら利用できるようになるのです。
そして、この<イメージ>を動かす力が「弱い力(弱い相互作用)」なので、自他の意識空間が顕在化すると、その差異を認識できるだけではなく、弱い力を自ら使えるようになるということでもあります。
というより、弱い力こそが、自他を分ける、つまり「わたし」と「あなた」の差異を生み出す力とも言えるかも知れません。