「真の自己」を悟る

前回は、自由電子としての自己は、執着や恐怖、憤怒といったエネルギーを放出して陽イオンと再結合すると、意識上に空っぽな空間が現れるという話をしました。いわゆる「空」の体験です。

空の体験は、再結合したからといって必ずしも起こるものではないかも知れませんが、エネルギー差(エネルギー放出量)が大きいほど起こりやすいと思います。

上図は、自由電子が一番外側のM殻に遷移した状態を表していますが、それより内側のL殻に遷移した時の方がエネルギー放出量が大きいため、空の体験をしやすいだろうということです。勿論、一番内側のK殻(基底状態)への遷移が、最もエネルギー放出量が大きいです。

 

そして次図のように、原子外からだけでなく、原子内での遷移も存在します。

上図のうち、「M殻からL殻(励起2→励起1)」よりも「M殻からK殻(励起2→基底)」への遷移の方がエネルギー差が大きいため、エネルギー放出量も大きくなります。従ってエネルギーを放出し、K殻に遷移することができたとしたら、当然、空の体験はしやすいと思います。

といいますか、K殻はエネルギーが最も低い基底状態であり、電子の立場から見れば、これ以上進むことのできない「真空」の世界でもあります。

それゆえ電子である自己が基底状態に遷移することを、言い換えると、基底状態を体得することを、昔の人(特に仏教で)は「悟り」や「解脱」と表現しました。いわゆる励起エネルギーのしがらみから完全に脱却した状態です。

そして、このように自己が基底状態を体得すると、基底状態(=真空)と励起状態の差異が明確になります。言い換えると、思考場と思考(ゆらぎ)の差異が明確になるのです。なぜなら、「基底状態の自己」と「励起状態の自己」を同時に見る目が生まれるからです。

 

ところで、基底状態を体得しても、思考や感情は現れます。電子で説明すると、基底状態の電子も、外部からエネルギーを吸収すると励起するのです。

しかし、基底状態を体得した人は、励起した思考や感情に囚われることがありません。思考や感情が励起しても、直ちにエネルギーを放出して基底状態に戻ることができるからです。

上図で言うと、左側のように「基底→励起」に遷移しても、すぐさまエネルギーを放出して「励起→基底」に戻るのですね。

このように外部からエネルギーを与えられて思考や感情が励起しても、決して巻き込まれることなく基底状態を保っている自己を「真の自己」ということができます。

そしてこれが、真の自己は原子内の電子と言った理由です。ですから単に陽イオンと再結合した電子というより、基底状態に遷移した電子が真の自己といった方が正確かも知れません。

 

最後に、詳しい解説は次回に譲るとして、アニメ「一休さん」のモデルとなった、一休和尚の投機の偈(悟りの詩)を紹介します。電子遷移を理解できれば、このような悟りも理解できるようになるでしょう。

凡とか聖とかの分別心や、
怒りや傲慢のおこる以前のところを
即今気がついた。

そのような羅漢の私を鴉は笑っている。

引用:一休さんのくにプロジェクト

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