真空において、粒子が生成と消滅を繰り返している状態を量子ゆらぎといい、同様に思考場において、思考が生成と消滅を繰り返している状態を思考場のゆらぎと解釈できました。
そして、思考場と思考の差異を認識することを昔の人は悟りや解脱などと表現しました。いわば真空とゆらぎの間には明確な境界線があり、その境界線を体得することを悟りや解脱などといったわけです。
しかし、前回も書いたとおり、今の私たちはこの段階で留まっていてはいけません。
現代科学が、真空は何もない空っぽな空間ではなく、常にゆらいだ状態であると発見したように、あるいは宇宙初期に指数関数的膨張（インフレーション*）があったとすれば、それは真空エネルギーに起因するものと考えるように、私たちの意識も、空っぽな空間を見つけて終わりなのではなく、その先にある、よりダイナミックな構造に、目を向けて行く必要があるからです。＊参考：ビッグバンの前のインフレーション
科学が、量子世界の発見を通じてより進化したように、私たちの意識も、その構造の発見を通じて進化していくべきなのですね。
さて、意識の構造として、思考（思考場のゆらぎ）を生み出す力とは何かと考えてみると、それは、結論をいえば「能動的思考」だと思います。
思考場に意識を向けた時に現れる思考のことを、意図せず浮かび上がる思考という意味で「受動的思考」と呼び、その受動的思考を生み出す力が能動的思考だからです。
但し、今の私たちの能動的思考には「力」がありません。力のある能動的思考とは、それこそ宇宙初期の量子ゆらぎや、指数関数的膨張であるインフレーションを起こし得る力でもあるからです。
力のある能動的思考とは、おそらく現代科学が話す真空エネルギーと等価であり、またタイトルのとおり宇宙を創造する力でもあるだろうということです。
ここで念のため説明しておくと、サイポロジー（PsyPology）では、宇宙は、物質的な作用ではなく、意識的な作用によって創造されたという立場をとっています。（＊この立場はヌーソロジーを参考にしています）
現代科学は、量子ゆらぎやインフレーション、あるいはビッグバンという物質的作用によって今の宇宙が創造されたという立場ですが、サイポロジーは、量子ゆらぎやインフレーション、あるいはビッグバンという物理現象があったとすれば、それらは全て意識的な作用による結果、または投影に過ぎないという立場です。
とはいっても、今の私たちの意識が宇宙を創造する、あるいは創造したとは到底思えません。事実、今の私たちの能動的思考には、宇宙を創造するだけの力はありませんからね。
ですから、いかに私たちが宇宙を創造する、力のある能動的思考を獲得するかがサイポロジーの大きなテーマの一つであり、その答なりヒントを現代科学に見出そうとしているわけです。
