真空エネルギーと量子ゆらぎ

前回、有力な宇宙論の一つである、ビッグバンの前に指数関数的な急膨張が起きたと仮定する「インフレーション理論」について簡単に見ました。

改めて、前回引用した内容の一部を掲載します。

現在では宇宙の誕生は一般には以下のように考えられている。

量子的論的な「ゆらぎ」によって莫大な数の小さな(ミクロな)時空(10^-35 m程度)が誕生した。

その中でインフラトンと呼ばれるスカラー場のエネルギーによって時空が指数関数的な膨張をして、量子力学の対象とはならない程度の大きな(マクロな)宇宙になったものがある。

この指数関数的な激しい膨張をインフレーションという。

引用:ビッグバン宇宙論|天文学辞典

先ず、

量子的論的な「ゆらぎ」によって莫大な数の小さな(ミクロな)時空(10^-35 m程度)が誕生した。

というのは、形而上学的素領域理論に通じるという話をしました。引用にある量子論的な「ゆらぎ」(量子ゆらぎ)と、形而上学的素領域理論でいう真空の自発的破れには、相関性があるだろうということでした。

なお、宇宙初期の量子ゆらぎとは、真空上で粒子が生まれたり消えたりしている状態のことをいいます。より正確には、粒子と反粒子が生成と消滅(対生成と対消滅)を繰り返している状態です。

真空はこのように、何もない空っぽな空間ではなく、粒子と反粒子が慌ただしく生成と消滅を繰り返している、常に揺らいだ状態をいいます。

 

ところで、この量子ゆらぎも、もし粒子と反粒子の生成と消滅が等値であれば、即ち生成した数だけ消滅するのであれば、そこには何も残りません。単に「ゆらぎ」があるだけで、ある意味「無」の状態です。

しかし、もし何らかの作用によって生成と消滅の間に差異が生まれれば、言い換えると、真空(対称性)が自発的に破れれば、その時はじめて何かが残ります。消滅の数より生成の数が勝れば、「無」から「有」が生まれるということです。

よって、この「生成と消滅の差異を作り出し、無から有を生み出したのが、指数関数的な急膨張である」というのがインフレーション理論の基本なのかも知れません。

 

また引用に「インフラトンと呼ばれるスカラー場のエネルギー」とありますが、これは真空エネルギーと解釈して良いかと思います。

真空エネルギーについては、科学も解明できていない部分が多いようですが、真空エネルギーを解明するためには、どうしても意識の側面からのアプローチが必要になって来るかと思われます。

もともと量子ゆらぎを意識の側面から解釈するために、宇宙初期の量子ゆらぎにたどり着いたのですが(参考記事:量子ゆらぎとは)、粒子と反粒子が生成と消滅を繰り返す真空のゆらぎについては、意識の側面から解釈することは、比較的容易なのではないかと思います。

そのためには先ず、意識場の真空を見出すことが大事かもしれませんが、詳しくは次回とさせていただきます。

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